2009年11月14日

放送第59回『マイルスとマーカス』(1)

さて、今回の『高野 雲の快楽ジャズ通信〜What Is This Thing Called Jazz?』のテーマは、「マイルスとマーカス」です。

本日(11/14)土曜日は、午後8時から、
コミュニティFM52局にて午後8時より、

明日(11/15)日曜日は、
午後10時から、ミュージックバードのジャズチャンネルにて、

来週木曜日(11/19)木曜日は、
午後11時からは、ミュージックバードのクロスカルチャー・チャンネルで放送します。

本日は、番組でかけた音源を紹介します。

まずは、ベタですが、
というか、ベタベタですが(笑)、
最初の掴みの1曲は、『TUTU』より《TUTU(ツツ)》。

TUTU(SHM-CD)
TUTU/Miles Davis


作曲、アレンジ、演奏、打ち込み、プロデュース。
マーカス・ミラーが全面的に参加している作品です。

古巣のCBSを離れ、ワーナーに移籍したマイルス・デイヴィスの第一弾です。
いまとなっては懐かしいオーケストラルヒットのサンプリング音とともに、重々しく始まるイントロ、そして直後にかぶさる思わせぶりなマイルスのミュート・トランペットがたまらない。

マーカスのベースもところどころにセンスの良いオカズが入れられていて、シンプルながらもなかなか考えられたアレンジの一曲です。

ちなみにジャケットのアートワークは、石岡暎子さんです。

2曲目は、映画『シエスタ』のサントラ、『シエスタ』より《オーガスティンのテーマ》。

シエスタ(SHM-CD)

まずは、エコーのかかったマーカスのバスクラリネットのプレイが耳を惹きつけます。
つづいて登場するマイルスの物悲しいトランペット。
静謐で絶望的な隙間風が吹いてくるような午後の蜃気楼のようなサウンド。
これも、バックのオケのほとんどがマーカスによるものです。

この作品には、随所にオマー・ハキム(ds)や、ジョン・スコフィールド(g)も参加してはいるのですが、ほとんどマイルスのトランペットを引き立てる役どころ。

これは切なさの極致とでもいうべき『スケッチズ・オブ・スペイン』の続編とでもいうべき、マイルスが描く「悲」の極致。

さて、マーカスがプレイに参加しつつも、メインは打ち込みトラックによる2曲をかけましたが、これらはあくまで前菜。

メインディっシュは、なんといっても、なんといっても、
『ウィ・ウォント・マイルス』の《ファースト・トラック》です。

ウィ・ウォント・マイルス
We Want Miles/Miles Davis


熱血15分!
超エキサイティング!
マイルス、こんなに熱くなっていいの? な凄まじい演奏です。

マイク・スターンのギターも熱い熱い。
ビバップの語法を覚えたてのハードロック・ギタリストばりにギンギンに飛ばしています。

アル・フォスターのドラムも彼らの攻撃を真っ向から受け止め、柔らかく包みこみ、最終的にはエネルギー感を増幅して演奏に還元しています。

マーカスは熱いけれども冷静。きちんと彼らの音楽の熱量についていき、支え、的確に煽っています。
演奏の司令塔ですらあります。

信じられないほどエキサイティングな15分強のこの演奏こそが、マイルスとマーカスのコラボレーションの頂点だと私は思っています。

ということで、
《TUTU》、
《オーガスティンのテーマ》、
《ファースト・トラック》。

今回番組で最初から最後までかけた曲は、この3曲のみ。わはは。

しかし、途中、マーカス・ミラー氏のインタビューを挟んだり、マーカスが子供の頃に慣れ親しんだ、ジャクソンズやアース・ウインド・アンド・ファイヤーの一部をかけたり、
あくまで私の仮説ですが、マイルスとマーカスの音楽性にじわりと侵食していったであろうスライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンの『暴動』から《アフリカは君に語りかける〜アスファルトジャングル》、《ジャスト・ライク・ア・ベイビー》、
それに『ウィ・ウォント・マイルス』より《ジャン・ピエール》の一部や、《バック・シート・ベティ》の冒頭などもかいつまんでかけていますので、このへんは番組をお楽しみください。

デスティニー(紙ジャケット仕様)

デスティニィー/ジャクソンズ

ベスト・オブ・EW&F(1)
ベスト・オブ・E&F

暴動
暴動/スライ&ザ・ファミリー・ストーン



最後に、訂正・お詫びです。

『キリマンジャロの娘』に収録されている、当時のマイルスの奥さん、ベティ・メイブリーを冠したタイトルの曲を、間違えて、《ミセス・ベティ》と言ってしまいましたが、
《ミス・メイブリー》の間違いです。

大ボケ……スイマセン(汗)。

この場を借りてお詫び申し上げます<(_ _)>




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Eric Dolphy『Memorial Album』評

エリック・ドルフィーの『メモリアル・アルバム』は2枚出ていますが、今回は、ブッカー・リトル(tp)との双頭コンボではないほうのレビューを加筆してみました。
リチャード・デイヴィスのベースとのデュオの《アローン・トゥゲザー》が染みます。
COMPLETE MEMORIAL ALBUM SESSIONS
Memorial Album/Eric Dolphy


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2009年11月13日

明日からの特集は、マーカスとマイルスです!

明日、明後日、来週木曜日放送の「快楽ジャズ通信」の特集テーマは、
マーカスとマイルスです。

そう、トランペッターのマイルス・デイヴィスとマーカス・ミラーです。

先日、ビルボードのマーカスさんの楽屋にお邪魔したときのインタビューを交えつつ、マーカスというフィルターを通した復帰後のマイルス・デイヴィスを紹介したいと思います。

今回は、独断と偏見を丸出しにしたドッカーン!な選曲でかっ飛ばします(笑)。
たぶん、コルトレーン特集のときに匹敵するドッカーン!だと思います(笑)。

どうぞお楽しみに!

▼ドッカーン!な選曲ゆえ、かけられなかったアルバム群
The Man with the Horn

The Man with the Horn

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony Japan
  • 発売日: 2008/03/01
  • メディア: CD


Star People

Star People

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Tristar
  • 発売日: 2001/04/10
  • メディア: CD


アマンドラ(SHM-CD)

アマンドラ(SHM-CD)

  • アーティスト: マイルス・デイヴィス,マーカス・ミラー,ジョージ・デューク,オマー・ハキム,ケニー・ギャレット,アル・フォスター,リッキー・ウェルマン,ジョー・サンプル,ドン・アライアス,ポウリーニョ・ダ・コスタ
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2009/06/24
  • メディア: CD


ザ・キング・イズ・ゴーン

ザ・キング・イズ・ゴーン

  • アーティスト: マーカス・ミラー,マイルス・デイビス,デビッド・サンボーン,ケニー・ギャレット,ウェイン・ショーター,カーク・ウェイラム,ジョー・サンプル,ジョナサン・バトラー,トニー・ウイリアムス,フィリップ・セス
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 1993/05/21
  • メディア: CD


M2〜パワー・アンド・グレイス

M2〜パワー・アンド・グレイス

  • アーティスト: マーカス・ミラー,メイシオ・パーカー,パッチェス・スチュワート,フレッド・ウェズリー,ケニー・ギャレット,ハイラム・ブロック,ポール・ジャクソンJr,ヒューバート・ロウズ,ジェームス・カーター,バーナード・ライト
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2001/03/23
  • メディア: CD


テイルズ

テイルズ

  • アーティスト: マーカス・ミラー,パッチェス・スチュワート,ケニー・ギャレット,バーナード・ライト,ディーン・ブラウン,ブージー・ベル,レニー・ホワイト
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 1995/03/29
  • メディア: CD


フリー

フリー

  • アーティスト: マーカス・ミラー,キース・アンダーソン,チェスター・トンプソン,グレゴア・マレ,デイヴィッド・サンボーン,アンドレア・ブレイド,トム・スコット
  • 出版社/メーカー: Viictor Entertainment,Inc.(V)(M)
  • 発売日: 2007/07/25
  • メディア: CD


Marcus

Marcus

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Concord
  • 発売日: 2008/03/04
  • メディア: CD


ストレイト・トゥ・ザ・ハート(ライヴ!)

ストレイト・トゥ・ザ・ハート(ライヴ!)

  • アーティスト: デイヴィッド・サンボーン,ドン・グロルニック,ハイラム・ブロック,マーカス・ミラー,ラルフ・マクドナルド,マイケル・ブレッカー,ランディ・ブレッカー,ジョン・ファディス
  • 出版社/メーカー: Warner Music Japan =music=
  • 発売日: 2008/03/19
  • メディア: CD


ハイダウェイ

ハイダウェイ

  • アーティスト: デイヴィッド・サンボーン,スティーブ・ガッド,ハイラム・ブロック,ドン・グロリニック,ラルフ・マクドナルド,マーカス・ミラー,デヴィッド・スピノザ,ダニー・コーチマー,マイク・マイニエリ
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2007/07/25
  • メディア: CD



かわりに、楽屋で話してくれたマーカスさんのお話をもとに、彼の音楽的ルーツと、引退前のマイルスの音楽環境を元に、大胆な(?)仮説も立ててみました。

marcus_miller.jpg

お楽しみに!


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上原ひろみ『Beyond Standard』評

上原ひろみの『ビヨンド・スタンダード』評をアップしました。
ここをクリック


ビヨンド・スタンダード(初回限定盤)(DVD付)
Beyond Standard/上原ひろみ



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2009年11月12日

奄美からブルースまで

先日、ゲストにいらした、ピアニスト・板橋文夫さんと打ち解けるキッカケは、奄美大島の話題でした。

私は奄美が好きで、というか「Sounds Pal」の高良さん会いたさに、これまで3回ほど足を運んでいますし、板橋さんも奄美大島にはよく演奏旅行に行かれるそうです。

というか、じつは板橋さんの奄美大島でのライブ話や、ライブ後においしそうに御飯をもりもり食べた話などは、以前高良さんから教えてもらって知っていたので、話をふってみたんだけどね(笑)。

しかし、私の想像以上に板橋さんは奄美大島が大好きなようで、特に島の南側が好きなようです。
そう、奄美大島って、島の北側と南側ではえらく自然も景色も変わるんですよ。
「島の南のほうは、もうほとんど日本じゃないよね。」などと熱く語っていました。

もちろん、高良さんのこともよーくご存知で、
「高良さんとは友達ですよ」
と私が言ったら、すごく喜んでくれて、高良さんのお父上のことを、
「彼は、生粋の奄美人だよね。もうあの人こそ奄美の人!って感じ」
そして、「彼の息子さん(高良さんのこと)も、ユニークなサックスを吹くし、素晴らしい親子だ。だいいち、奄美に、あのような店(=サウンズパル)があること自体、凄い!」
と仰ってました。

サウンズパルのページはこちら

そういえば、先ほど高良さんのブログを見たら、里国隆のことがチラリと載っていました。

里国隆は、奄美と沖縄の路上で活躍していた盲目のブルースマン、いや、正確には、島唄などの民謡を歌うシンガーなのですが、そのアクの強さと、わけのわからんゴッつい迫力は、ハウリン・ウルフや、チャーリー・パットンに匹敵するので、私の中では、ブルースマンなんですが、いやはや、久々に里国隆を聴きたくなっちまったぜぃ。

私は『路傍の芸』というアルバムが好きで、ジャケットも音も両方ともインパクト大なんですが、そういえば、板橋さんの持つ雰囲気って、里国隆的なものがあるのかも。
せせこましい箱庭的価値観では推し量れない、ワイルドな自由人って感じ。

いや、生前の里国隆・本人には会ったことはないのですが、たぶん、似た雰囲気の素朴ワイルドな方だったんじゃないかな、と、里国隆の裏返った声を流れる中、黒糖焼酎を飲みながら、ふと思ったりもしたわけで。

▼まるごと1枚、里国隆だとかなりのインパクトなので、まずはこのへんから奄美な空気に入門するといいのかも
奄美の哭きうた

奄美の哭きうた

  • アーティスト: 里国隆,栄タダ,照屋林助,嘉手苅林昌,登川誠仁,知名定繁,知名定男,饒辺愛子
  • 出版社/メーカー: テイチク
  • 発売日: 2006/12/20
  • メディア: CD


私はブルースが好きです。

それも飲みやすくブレンドされたカクテル的なブルースよりも、交じりっけなしの原酒のようなブルースが好きなのです。

原酒のようなブルースといえば、チャーリー・パットン。それに、ブラインド・レモン・ジェファスンあたりかな。
彼らの歌声にガツーンとやられるのが趣味(笑)。

ザ・コンプリート・レコーディングス
Complete Recordings/Charlie Patton

Classic SidesClassic Sides/Blind Lemon Jefferson


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ナンシー梅木『Miyoshi』評

1955年に渡米し、映画『サヨナラ』ではアカデミー賞の助演女優賞も受賞しているナンシー梅木のアルバム『ミヨシ』評をアップしました。

こちらをクリックしてください。

ミヨシ
Miyoshi/ナンシー梅木

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2009年11月11日

12月の「マッコイ・タイナー特集」のゲストは、板橋文夫さん!

昨日、TFMで番組収録してきました。
はやいもので、もう12月分の収録っすよ、、

12月、2週目の放送は(12/12,13,17)は「マッコイ・タイナー特集」。

ゲストはピアニストの板橋文夫さんです。

昨日収録したんですが、いやあ〜板橋さん面白い。
写真のイメージからは気難しそうな方だと思っていたのですが、実際はまったくそんなことありませんでした。

itabashi.jpg

いかにマッコイ・タイナーという存在が、学生時代の板橋さんにとって大きく大切な存在かということがよく分かりました。

私は、森高千里の《渡良瀬橋》も好きですが(特に間奏部のリコーダーソロが)、それ以上に板橋さんのソロピアノ『渡良瀬』が大好きです。


DO THE BEST
《渡良瀬》が収録されている森高千里の『Do The Best』


渡良瀬
板橋文夫『渡良瀬』


マッコイも板橋さんも左手の和音の“ガンガン打鍵”は共通しています。
また右手の主旋律も、ペンタトニックを多用したアプローチというところも、マッコイと共通。

ところがところが、マッコイと板橋さんの奏でる音楽の肌触りはまったく違います。

「ピアノ」「奏法」「スケール」「アプローチ」。
つまり、マッコイと板橋さんは、使ってる道具は同じだけれども、生まれてくる音はまったく違う風合いなのです。

ま、それは当然な話で、絵でいえば、同じ絵具と筆を使っても完成した作品のテイストがまったく違うようなもの。

たしかに、板橋さんは「道具」、つまり「奏法」の面ではマッコイからの影響を多大に受けていますが(学生時代は『インセプション』のコピーを夢中になってしていたそうです)、出てくるサウンドは、どこをどう切っても「板橋テイスト」でしかありえない。
つまり、強烈なオリジナリティの持ち主なのです。

それにしても、マッコイと板橋さんは、ペンタ(5音)の選択が違うだけで、こうも違うのかと驚きです。
板橋さんの音には、日本人のDNAを揺さぶる懐かしさがある。

特に、代表作《渡良瀬》を聴いたときの強烈な郷愁はなんともいえないものがあり、だいたい私はいつも《渡良瀬》を聴くときは、いつも芋焼酎を飲んでますね(笑)。

焼酎では、私は黒糖焼酎がいちばん好きなんですが、《渡良瀬》にかぎっていえば、黒糖よりも芋のほうが似合うんです。

芋焼酎がお好きな方は、是非『渡良瀬』を買って聴いてみてほしいし、『渡良瀬』をお持ちの方は、芋焼酎との組み合わせをお試しください(笑)。

また、板橋さんのダイナミックな奏法には感動しましたね。
アフターアワーズではブルースを一緒に演奏したのですが、板橋さんのピアノは、まるでエリントン!? のような強烈な打鍵とメリハリあふれる音のインパクト。

いやぁ〜強烈!
ベースで伴奏させたいただいた私の気分は、『マネー・ジャングル』のチャールス・ミンガス、もしくは『ジス・ワンズ・フォー・ブラントン』のレイ・ブラウン状態!?でした(笑)。

itabashi_session.jpg
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John Coltrane『Ballads』評

ジョン・コルトレーンの『バラード』評をアップしました。
こちらをクリックしてください


バラード(デラックス・エディション)
Ballads/John Coltrane


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2009年11月10日

Ella Fitzgerald & Louis Armstrong『Porgy & Bess』評

エラ・フィッツジェラルドと、ルイ・アームストロングの『ポーギーとベス』評をアップしました。

ここをクリックすると記事に飛びます


posted by 雲 at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Hank Mobley『A Caddy For Daddy』評

ハンク・モブレイの『ア・キャディ・フォー・ダディ』評をアップしました。
こちらをクリックしてください。


A Caddy for Daddy
A Caddy For Daddy/Hank Mobley




posted by 雲 at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする